狂犬病はどんな病気?
狂犬病は、狂犬病ウイルスによって引き起こされる感染症です1-5)。国内では、狂犬病予防法施行後に行われた犬の登録・予防注射などが功を奏し、撲滅されましたが1)、世界的には多くの国で依然として蔓延しています2,4)。
狂犬病は、狂犬病ウイルスによって引き起こされる感染症です1-5)。国内では、狂犬病予防法施行後に行われた犬の登録・予防注射などが功を奏し、撲滅されましたが1)、世界的には多くの国で依然として蔓延しています2,4)。
狂犬病ウイルスは感染動物の唾液中に含まれており、感染動物に咬(か)まれたり、ツメで引っかかれるなどしてできた傷口、目や口の粘膜をなめられたりすると人に感染します1-3)。病名に「犬」とあるため犬以外なら問題ないと思われがちですが、例えば猫やコウモリなどから感染することもあります1-3)。通常、人から人には感染しません1)。
狂犬病は、感染してから症状が出てくるまでの期間は一般的に1~3ヵ月程度とされていますが、場合によって10日程度で発症します1,2,5)。始まりは、発熱、頭痛、だるさ、嘔吐(おうと)など、いわゆるかぜのような症状です。狂犬病ウイルスは神経を障害するため、傷ついた部位の知覚異常、さらには脳炎を来すことがあります2,3)。脳炎ではとくに、液体を飲もうとすると筋肉がけいれんするため、水などを恐れるようになったり(恐水症:きょうすいしょう)、風を恐れるようになることもあります(恐風症状)2)。発症すると、ほぼ100%亡くなります2,3)。
海外の狂犬病が広がっている流行国で、狂犬病が疑われる動物に咬まれたりした場合には、すぐに傷口を石鹸と水でよく洗い流し、できるだけ早く現地の医療機関を受診しましょう6)。
狂犬病に対する、確立された治療法はありません2,3,5,6)。ワクチンで予防することが重要です。
狂犬病は日本国内では撲滅されているため、狂犬病ワクチンの在庫数は多くないとされています2)。
そのため、子ども・大人にかかわらず、あらかじめ医療機関に接種可能か問い合わせをしてから受診しましょう2)。
厚生労働省検疫所の「FORTH」というサイトで狂犬病(曝露(ばくろ)前:狂犬病ウイルスの体内侵入前/曝露後:狂犬病ウイルスの体内侵入後)を選択して、お近くの医療機関を検索してください。
【厚生労働省検疫所 FORTH】
https://www.forth.go.jp/moreinfo/vaccination.html
不活化ワクチンがあります(不活化ワクチンについてはこちら)4,7)。狂犬病ワクチンの接種には、予防のための「曝露前免疫」、狂犬病ウイルスを保有する動物に咬まれるなど唾液に触れてしまった後の発症予防で行う「曝露後免疫」の2パターンがあります4,6,7)。
狂犬病ワクチン(注射)は任意接種です。任意接種は費用(原則自己負担)がかかります(任意接種についてはこちら)。年齢制限はありません。なお、ワクチンにはゼラチンを含むため、ゼラチンアレルギーがある場合は医師にご相談ください7)。
【子ども・大人】
3回接種とされています。
接種回数は4、5、6回があります。
狂犬病ワクチンの主な副反応として、曝露前免疫として接種した場合は接種部位反応(痛み、赤み、はれなど)、疲労、だるさ、頭痛、筋肉痛など、曝露後免疫として接種した場合は接種部位反応(痛みなど)、疲労、筋肉痛、食欲減退、頭痛、発熱などがみられることがあります7)。