百日せきについて
百日せきはどんな病気?
百日せきは、百日咳(せき)菌という細菌が引き起こす感染症です1)。江戸時代中期(1797年以降)には「百日せき」という病名が使われており2)、昔から知られた病気だったようです。
子どもはもちろん、成人でもかかることがあります3)。
感染経路
主に、既に百日咳菌をもっている人のせきやくしゃみなどで飛び散った小さな唾(つば)のしぶきを吸い込んで感染します(飛沫感染:ひまつかんせん)4,5)。また、菌の付いたものに触れた後に、目や鼻、口をさわったりすると感染することもあります(接触感染)5)。
どんな症状がでるの?
約7~10日で症状が出て、名前の通り、症状が長引くのが特徴です3,5)。最初はかぜの症状で始まりますが5,6)、次第に激しいせき1,3,4,6)、とくに短いせきが連続して起きたり、息を吸うときに笛の音に似た「ヒュー」という音が出たりします3-6)。一般的に、発熱はないか、微熱程度であることが多いとされています5)。
小児の場合、百日せきにかかった後、約500人に1人(0.2%)が亡くなるとされ、月齢6ヵ月以内ではその割合は、約167人に1人(0.6%)に上昇します1)。その他、肺炎、けいれん、脳炎の危険もあります1)。
気になる症状を相談できる診療科
百日せきの最初の症状はかぜに似た症状ですが、激しいせきや無呼吸などの症状がみられたら、早めにかかりつけ医などに相談するのがよいでしょう。
【子ども】
かかりつけの小児科や耳鼻咽喉科などに相談してみましょう。
【大人】
まず、かかりつけの内科などへの受診をご検討ください。
百日せきワクチンについて
ワクチンの役割
ワクチンを接種することで、百日せきの発症を予防できます1)。ワクチンを接種したいときの診療科
【子ども】
ワクチンは、小児科・耳鼻咽喉科のある病院・クリニックなどの多くで接種できます。
【大人】
百日せきを含むワクチン(三種混合)を用いて、大人でも内科などで任意接種でワクチンを受けられます。お近くの医療機関を検索するか、かかりつけ医などにお問い合わせください。
百日せきを予防するワクチン
百日せきを予防するワクチンには、以下の3種類があります1,7)。
- 三種混合ワクチン:ジフテリア・百日せき・破傷風を予防
- 四種混合ワクチン:ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオを予防(接種対象は小児のみ)
- 五種混合ワクチン:ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・Hib(ヒブ:インフルエンザ菌b型)感染症を予防(接種対象は小児のみ)
定期/任意接種、接種費用およびワクチン接種のタイミング
定期接種は原則無料です。任意接種は費用(原則自己負担)がかかります(定期/任意接種についてはこちら)。
【子ども】
ワクチンは定期接種で、四種混合の接種が多く行われていましたが8)、2024年4月から五種混合が定期接種化されました。使用するワクチンは五種混合が基本となりますが、当面の間は四種混合も使用できます7,9,10)。定期接種対象外の年齢の人は任意接種としてワクチンの接種を受けることができます。
[五種混合](注射)
五種混合の一般的な接種スケジュールは、これまでの四種混合とHib(ヒブ)ワクチンを参考に作成されており、「生後2ヵ月~2歳になるまでにワクチンを4回接種(生後2ヵ月から1回目の接種を始める)」になります7,9-11)。
[四種混合](注射)
四種混合の一般的な接種スケジュールは、「生後2ヵ月~2歳になるまでにワクチンを4回接種(生後2ヵ月から1回目の接種を始める)」になります9-11)。
[三種混合](注射)
三種混合の一般的な接種スケジュールは、「生後2ヵ月~2歳になるまでにワクチンを4回接種(生後2ヵ月から1回目の接種を始める)」になります9-11)。
百日せきは、三種混合・四種混合によって百日せきの免疫をワクチンで得ていても、小学校就学前にその力が落ちてしまうことがわかってきました。そのため、日本小児科学会は、①小学校就学前の1年間②11‐12歳での三種混合ワクチンの追加接種(任意接種)を推奨しています9)。
五種混合の一般的なスケジュール7,9-11)
【大人(定期接種対象外の年齢の人)】
三種混合ワクチンを用いて任意接種として接種を受けることができます。例えば、ワクチンを接種できない赤ちゃんのご両親などが接種することがあります3)。
ワクチンの接種率
2021年度「定期の予防接種実施者数」(厚生労働省)によると、4回の四種混合ワクチン接種が完了した子どもの割合(実施率)は98.1%でした8)。
ワクチンの副反応
五種混合ワクチンの主な副反応として接種部位の局所反応(はれや痛みなど)、発熱など、重い副反応としてアナフィラキシー(重いアレルギー反応)などがあらわれることがあります4)。
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1)厚生労働省:感染症情報
百日せき
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/whooping_cough/index.html 2024/4/23参照 -
2)国立国会図書館:レファレンス協同データベース レファレンス事例詳細 「百日咳」という病名はいつ頃つけられたのか.
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000046757 2024/4/23参照 - 3)Centers for Disease Control and Prevention. Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases (Pink Book) 14th edition. 2021.
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4)日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」:B-05 五種混合ワクチン2024/04作成 ver.4
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_14kaitei20240405.pdf 2024/4/23参照 -
5)国立感染症研究所:疾患名で探す感染症の情報 百日咳とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/477-pertussis.html 2024/4/23参照 - 6)予防接種ガイドライン等検討委員会執筆・監修:予防接種ガイドライン2024年度版 予防接種リサーチセンター:70-71,2024
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7)厚生労働省:第58回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 5種混合ワクチン、小児に対する肺炎球菌ワクチンについて(2023年12月20日開催)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001225283.pdf2024/4/23参照 -
8)厚生労働省:定期の予防接種実施者数
https://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/other/5.html 2024/4/23参照 -
9)日本小児科学会:日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 2024年4月1日版
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240401_vaccine_schedule.pdf 2024/4/23参照 -
10)厚生労働省:定期接種実施要領(令和6年3月29日改正)
https://www.mhlw.go.jp/content/001238891.pdf 2024/4/23参照 -
11)国立感染症研究所:日本の定期/任意予防接種スケジュール 2024年4月1日現在
https://www.niid.go.jp/niid/images/vaccine/schedule/2024/JP20240401_02.pdf 2024/4/23参照