肺炎球菌感染症はどんな病気?
肺炎球菌(はいえんきゅうきん)感染症は、肺炎球菌という細菌が引き起こします1)。肺炎の原因菌であることから「肺炎球菌」と名付けられていますが、肺炎以外の病気や症状の原因にもなります。
肺炎球菌(はいえんきゅうきん)感染症は、肺炎球菌という細菌が引き起こします1)。肺炎の原因菌であることから「肺炎球菌」と名付けられていますが、肺炎以外の病気や症状の原因にもなります。
主に、肺炎球菌感染症にかかった人や、肺炎球菌を体内にもっていながらも症状が出ない人(保菌者といいます)のせきやくしゃみで飛び散った小さな唾(つば)のしぶきを吸い込むことで感染します(飛沫感染:ひまつかんせん)2,3)。また、菌の付いたものに触れた後に、目や鼻、口をさわったりすると感染することもあります(接触感染)3)。
肺炎球菌は、肺炎の原因になる細菌です。ほかにも、細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)、菌血症(きんけつしょう)、中耳炎などの病気を引き起こすことがあります1,4)。
肺炎球菌感染症は、感染を起こした場所によって、さまざまな症状に悩まされることがあります3)。
よく知られている症状は発熱です2,3)。
とくに、菌が脳や脊髄を覆っている髄膜の中に入り込んで発症する「細菌性髄膜炎」は子どもの命にかかわるこわい病気です。残念ながら、細菌性髄膜炎とはっきり見分けられる特別な症状はありませんが、下記のような症状がみられた場合、細菌性髄膜炎の可能性も考えられることから、すぐにかかりつけの先生に診てもらいましょう3)。
細菌性髄膜炎の可能性のある症状:
急な発熱[高熱]、泣きやまない・きげんが悪い、意識がもうろうとしている、ぐったりしている、吐く・食べない・飲まないなど
かかりつけの小児科などに相談してみましょう。小児科の先生は肺炎球菌感染症を含めたいろいろな病気を診てくれます。
肺炎球菌ワクチンを接種することで、体の中に抗体(こうたい:病原体などの異物を排除するために働く物質)ができ、肺炎球菌に対する免疫がつくられます。肺炎など肺炎球菌による感染症の発症を予防し重症化を防ぐことが期待されます1,3,注1)。
注1:ワクチン接種によってすべての肺炎球菌性感染症を防ぐものではありません。
小児科のある病院・クリニックなどの多くで接種できます。
子どもの定期接種を対象とした肺炎球菌ワクチン(注射)は2種類あります。
肺炎球菌ワクチンの定期接種は、定期接種対象年齢〔生後2ヵ月以上~5歳未満〕であれば無料で接種できます。
【子ども】
標準的接種スケジュールでは計4回接種します。
定期接種では、開始する月齢によってスケジュールが異なります。
標準スケジュールと、標準スケジュールから遅れて開始した場合があります5-9)。
2022年度「定期の予防接種実施者数」(厚生労働省)によると、4回の小児用肺炎球菌ワクチン接種が完了した子どもの割合(実施率)は94.5%でした10)。
主な副反応として、注射した場所の赤み・はれ・痛み、発熱、食欲減退、不機嫌、うとうとするなど、重い副反応として、ショック、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)、けいれん、血小板減少性紫斑病を認めることがあります1)。